サボリーマンが宝塚記念と有馬記念で帯馬券を目指すブログ

まだ見ぬ「帯馬券」獲得を目指して宝塚記念と有馬記念で帯獲得を目指す。両レースでの資金はそれぞれのレース開催前日までに的中した馬券の儲けを全て貯めて、貯まった分を全額投資。ワイド馬券に希望を託し、一流のワイダ―になる事がもう1つの目標。

ワンダーウォール Vol.3

6月某日。

時は昼下がり、俺はとある目的地まで歩を進めていた。

今日は夏なのか?と錯覚する程の気温の中、軽くも無く重くも無い足取りで。

 

遡る事数日前、数少ない俺の友人から久しぶりに連絡があり、「一緒に昼飯でも食わないか」、とお誘いを受けた。

俺もそいつもサラリーマンだが、同じ営業職なので平日の昼間でも割かし都合は付けられるので、そいつの申し出を受け昼飯を供にする事を快諾した。

 

「久しぶり」

こいつに会うのは思い返せば5年ぶりくらいだ。

精一杯の笑顔で挨拶をしてくれたが、その笑顔の奥には暗澹とした表情が見え隠れしている。

自分の気持ちをしっかり固めておかないと、邪気をまとってしまっているこいつに飲み込まれてしまいそうな気さえしちまうくらい。

挨拶もそこそこに、そいつが薦める店の暖簾をくぐった。

互いの近況報告等の他愛の無い話を交えつつ、美味しい昼食をいただく。

そいつの取って付けたような空元気にも似た態度に俺の脳内は警戒レベルを高めていく。

(早くこの場から逃げ出せ)

本能的に発せられる警報に抗い、俺は笑顔で聞き役に徹していた。

「コーヒーでも飲みに行こうよ」

恐らくこいつの本題はここからだろう。

こんな他愛も無い世間話をしたいが為に、5年近くぶりに俺に会いたがった訳では無いだろう。

ここまでくると、こいつが何を求め俺に会いたがったのか興味が湧いてきた。

二つ返事で了承し、近場にあった喫茶店へと足を運ぶ。

 

「俺さ、近いうちに仕事辞めて海外にでも行こうかと思っている」

「ほら今さ、社会もこんな状況でさ、俺たち公務員でも無いしいつ会社からクビ切られるかも分かんないし、会社自体がいつまで続くかも分かんないだろ?」

「だからいま副業でお金を貯めてんだよ」

心の中で軽く舌打ちをする。

「いまこういう健康食品やサプリを色んな人に薦めているんだ」

そっち系の話だったか。

金策の為に呼ばれたのかな、と予想をしたが蓋を開ければマルチの勧誘だって訳だ。

俺の競馬予想と同じくアテにならない予想だ。

 

「まだ始めたばかりだけど、月に20万程の利益が出て、いずれ月100万も夢じゃない」

「お前も一緒にやらないか?」

こんなクソくだらない話の為にホイホイ付いてきた事を後悔してももう遅い。

これこそ時間の無駄遣いだ。

 

言いたい事は山ほどある。

本業とは別に月に20万も稼げているのなら、そのみっともないシワだらけのスーツをどうにかしろ。

元は白色だったと想定されるくすんだ色のワイシャツを着るな、革靴を磨け、ボサボサの髪を切れ。

どうみても稼いでいる男の身なりには見えないバレバレの嘘をつくそいつに向けて速射砲の様に罵声を浴びせ掛けたかったが、こんな奴に労力を使うのも勿体ない。

ありったけの罵詈雑言は胸にそっとしまった。

「お金を貸して欲しい」、と言う要望の方がどれだけ良かったか。

 

こいつがやっているマルチに新規会員の勧誘のノルマがあるのかどうかは分からない。

こいつに対する全てに興味を失った俺は会話もそこそこに切り上げ、マルチへの勧誘を断った。

そいつと別れ、おもむろにそいつの携帯番号を削除した。

俺は数少ない友を1人、この日に失った。

 

久しく会っていなかったので本当に友と言えるのかは不明だが、言葉では言い表し難い感情になっちまった。

子供の頃は一緒に無邪気に遊んで同じ時を過ごし一緒に成長してきたのに、大人になり社会に出ると色んな事にまみれて変わってしまうんだな。

感情を押し殺し、有無を言わさず勧誘を断った時のそいつの表情が今でも頭から離れない。

完全にシャットダウンするよりもう少し他の対応の仕方があったのかも知れない。

全て聞く前に拒絶してしまったのでお金に困っていたのかは不明だが、安易に俺からお金を借りようとせず、自力で稼ごうとしていただけマシだったのかもな。

アウトローな世界に足を踏み込んだ訳では無いので、拒絶する事無かったのかも知れないが、俺もまだまだ小さい人間だな。

 

自己嫌悪にも似た何とも言えない感情を胸にしまい込み、今日はこの乙女に慰めて貰おう。

「◎⑮マルシュロレーヌ」f:id:sekiwakedesu:20200614085818j:image

東も乙女を選んだぜ。

「◎⑫シャドウディーヴァ」f:id:sekiwakedesu:20200614085929j:image

時を忘れさせてくれる酒代でも稼がせておくれ。

たまには強く酔いたい、そんな日があってもいいだろ?

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